All About (更新日:2021年2月16日)に掲載された記事を紹介する。
日本通運が旅行業から撤退!先が読めない時代に、失業や不本意な異動のリスクとどう向き合うか
求職者は3つに分類される。①現在失業している人、②現在働いているが、退職予定日が決まっている人、そして③現在働いているが、まだ退職日が決まっていない人(多くの場合は、退職の意思を現職の会社にはまだ表明していない状態)である。
人材紹介会社は、①②③すべての求職者を支援するが、①と②の求職者は早期の転職の実現を希望することが多いため、転職支援ができる時間は限られている。求職者支援はスピーディに行わなければならない。もちろん③の場合でも、できるだけ早く転職が実現することを望む求職者もいる。
人材コンサルタントは、転職の早期実現によって売上を早く上げたいため、スピーディな求職者支援をすることは、①②の求職者と利害は一致する。しかし、その分、求職者支援の難易度は上がる。
マッチングがいい求人案件を紹介できるかは、運次第である。タイミングが合わなければ、早々に支援を打ち切ることにもなりかねない。①と②のタイプの求職者は転職を急いでいるから、マッチングの悪い求人案件への応募を繰り返してしまう場合もある。様々な理由で人材を確保できない会社が採用条件のハードルを下げて、マッチングの悪い人材の採用を強行することが、たまに起きることもある。その場合、求職者の早期の退職に繋がり、傷を深めてしまうことがある。
転職の実現を急ぐ①②のタイプの求職者は、人材コンサルタントから好まれることが多い。しかし、注意も必要である。
特に①の求職者の場合、退職してからの失業期間が短いうちはそれほど転職は不利にならないが、失業期間が長い求職者の場合、企業が採用に慎重になるケースがある。人材コンサルタントにとって、①の求職者支援は総じて難易度は高いのである。
転職を希望する求職者には①と②が目立つが、転職市場で採用が実現している求職者には、実は③のタイプの求職者が多い。なぜなら、転職活動の時間的な余裕があるため、マッチングのいい求人案件を待って応募することができるからだ。
しかし、③の求職者の中に含まれる「不本意な異動」に悩む求職者の場合、時間的な余裕はあまりない。その点では①と②の求職者に近い状態である。たとえば長年営業のキャリアを積んできた人が、突然総務部に異動になったとしよう。この求職者は、自分の営業キャリアが社内異動によって断絶したことをきっかけに転職することを決意した。その場合、本人ができるだけ早い転職を希望することが多く、時間との戦いになる。
良い求人案件がすぐにあればいいが、なかなか巡り合わない場合、時間が経過すればするほど新しく取り組む総務の仕事は覚えることが多くて負担が多く、仕事自体も忙しくなるものだ。そうするうちに時間が経過し、自分の経歴の中に総務の仕事の期間が長期化していくのである。その結果、営業現場から離れた時間が日増しに長くなり、顧客との関係も薄れていく。さらに商品情報や競合状況なども変化していくため、最新情報に疎くなり、営業の現場感覚を失う懸念もある。
以上の通り、求職者①と②、そして不本意な異動に悩む求職者③の転職支援は急ぐことが必要である。一方、求職者①と②にばかり注目しがちになるが、人材コンサルタントとして独自性の高い求職者を獲得して他社との差別化をはかるには、転職支援にじゅうぶんな時間をかけられる求職者③の新規開拓にも注力していかなければならないのである。