人材コンサルタントの基本

面接に立ち会うメリットを考える

人材紹介の仕事をしているコンサルタントのうち、果たしてどのくらいの割合のコンサルタントが、候補者の企業面接に立ち会っているだろうか。正式な統計があるわけではないが、筆者の経験で言えば、おそらく9割以上の人材コンサルタントは、候補者を企業に紹介して書類選考が通れば、その候補者と企業との面接日程を調整するだけにとどまり、コンサルタント自らが企業面接に候補者とともに出席するという人はほとんどいないのではないだろうか。もし読者の中で、いや自分は毎回多くの異なる顧客の企業面接に候補者と一緒に参加している、というコンサルタントがいるとすれば、それはかなりの少数派ではないだろうか。

この問いかけ自体にどのような意味があるのか、まずはそこから疑問を感じているコンサルタントもいるだろうから、企業面接に人材紹介のコンサルタントが立ち会うメリットについて整理したい。

第一に、候補者が安心するというメリットを指摘したい。これは別の意見もあるかもしれない。つまりl候補者が嫌がることもあるのではないかとの意見だ。もちろんその可能性もあるが、候補者の多くは、はじめて応募する企業に不安を抱えており、中には転職そのものが不慣れな候補者も多い。その場合、面接準備を支援してくれるコンサルタントの存在は、候補者にとってプラスになる。もちろん、前述のように、企業面接に立ち会うコンサルタントがあまりいないことを考慮すれば、コンサルタントが企業面接に立ち会うことを説明した際、最初は戸惑いを見せる候補者もいる。筆者も、何度もその経験があるが、企業面接に立ち会うメリットを丁寧に説明すれば、立ち会うことをむしろ歓迎してくれることの方が多いというのが、筆者の実体験である。

第二に、企業にとってのメリットもあるということだ。企業面接の直前に候補者と会い、しっかりと企業情報や面接でのアピールポイントの確認などをした候補者の場合、ナーバスな状態で一人で企業面接に臨んだ場合よりも、実際に候補者の面接でのパフォーマンスが高まるからだ。これは企業も望んでいることである。候補者を信頼せず、面接で積極的に落としたいと考えている企業は基本的にはない。たまに、やたらと厳しい面接をする企業もあるにはあるが、正直なところ、そうした会社は社員の離職率が高く、候補者にお勧めしたい起業家といえば、そうではないことが多い。圧迫面接をした挙句、「うちの会社は精神的に強い人物を採用したい」という会社もあるが、そうした会社は社員をあまり大切に扱わないことが多く、筆者は候補者を紹介することを控えてきた。このあたりは倫理観の問題でもある。人遣いが荒くても、離職率の高い会社でも紹介してくれて構わないという候補者もいるのかもしれず、その場合は、ここで述べたメリットはあてはまらないだろう。

人材コンサルタントにとって、候補者の企業面接に立ち会うメリットは何か。それは前述したような、候補者へのメリット、企業へのメリットを実現させることで、お互いの理解が深まり、採用が実現する確率が高まることである。企業面接に同席することで、どのような面接が行われているか、またその企業の求めていることは何か、そのあたりも深く理解できるため、よりマッチした候補者の紹介にもつながる。候補者が緊張していたら、その緊張を解くための支援もできるかもしれない。面接中は、あまりあからさまな助け舟を候補者に対して出すことはできないが、候補者がみすみす自らのアピールに失敗する状況を目の前で見逃すのも、企業と候補者双方にとってもったいないことである。もし、ちょっとしたかけ違いで、面接の流れが悪い方向に向かいそうになれば、それを静かに軌道修正することもできるかもしれない。もちろん、こうした役割を人材コンサルタントが果たすには、企業と候補者、双方から信頼されていることが条件である。

候補者の企業面接には人材コンサルタントは立ち会わない、そうした常識に一石を投じるのが本稿の目的である。そんなことは無理だ、とあきらめる前に、一度企業や候補者に提案してみてはどうだろうか。もし、企業面接への立ち合いが実現したら、おそらく顧客企業との関係にも、大きな変化が起きてくるに違いない。企業への理解が深まり、人事部以外の現場の該当部署の面接官との間にも信頼関係が生まれ、候補者の企業面接の成功確率も上昇するかもしれない。

候補者の企業面接への人材コンサルタントの立会い、一度検討してみてはどうだろうか。